神経の近くまで虫歯が進行したケースでは、一般的に神経を抜く抜髄による治療を行いますが、抜髄をすると歯に栄養が届かなくなり、歯が死んでもろくなります。
そのため、できるだけ神経は抜かずに残す方が好ましいのです。
神経を残すために重要な、MTA治療について解説します。
〇MTA治療とは?
MTA治療は、神経に虫歯の原因菌が感染していても、生活反応がある状態であれば抜かずに残す治療法です。
治療に使用するMTAセメントは、殺菌性や封鎖性が高いという特徴をもっています。
患部を除去し、消毒した後にMTA治療で用いられるMTAセメントで患部を埋め、補綴治療をすることで神経を残すことが可能です。
MTAセメントは人体に優しい素材であるため、使用しても人体に悪影響が出るようなケースはほぼありません。
〇MTA治療のメリット・デメリット
MTA治療の最大のメリットは、神経を残せるということです。
神経を除去する治療は1~3カ月程度かかりますが、MTA治療の場合には1週間~1ヶ月程度と、治療期間が短いというメリットがあります。
保険適用外の治療であることから、治療後に被せる補綴物について虫歯が再発しにくいものを選べる点もメリットといえるでしょう。
MTA治療のデメリットは、全ての症例で適用されるわけではないため、患者さんが希望しても選べない可能性があるという点です。
また、治療の過程で生活反応がないケースでは適用されず、神経を除去する治療が行われます。
保険適用外の治療であるため、治療費が患者さんの負担になることもデメリットです。
〇MTA治療を用いて治療を行う場合の流れ
MTA治療を行う場合の主な治療の流れを解説します。
1. ラバーダムを装着して治療箇所に細菌が入るのを防ぐ
2. 虫歯の原因菌に感染している部分を削る
3. 歯髄まで穴を開ける
4. 神経に刺激を与え生活反応を示すかをチェックする
5. 反応がある場合は、MTAセメントで神経を覆う
6. 経過観察後、問題が無ければ補綴物を作製し被せる
ただし、治療後に時間が経過してから痛みが出たケースは、神経を抜く治療を受ける必要があります。
〇まとめ
神経の近くまで虫歯が進行したケースでも、神経を抜かずに残す治療方法をMTA治療といいます。
神経を除去する治療より治療期間が短く、治療後に被せる補綴物も虫歯が再発しにくいものを選択可能です。
ただし、保険適用外であるため、治療費が患者さんの負担になる可能性があります。
また、全ての症例で適用されるわけではないため、希望する場合は歯科医師に相談してください。